後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
「エリーシャ様が、クリスティアン様の霊と話をしようとしているのでなければいいが――」
イヴェリンは形のいい眉を寄せた。それは禁忌、というものだ。
「まだ、忘れられないのでしょうよ――それもしかたのないことではないかしら」
そう言うとゴンゾルフは、エリーシャが何をしているのか確認してきて欲しいとアイラに頼んだのだった。
今アイラがテーブルに置いたクッキーはゴンゾルフが自分で焼いたものなのだそうだ。新作なので、皇女殿下に差し上げたい――と。
器用な男だと感心しながら、アイラはエリーシャに声をかける。
「クッキー、ゴンゾルフ団長が焼いたものだそうですよ。エリーシャ様にぜひ差し上げたいって」
一応、魔術研究所を経由して毒が入っていないかどうかの確認はしてある。ゴンゾルフ自らそうするように薦めたから。
「あら」
エリーシャは熱心にページを繰っていた本を置いて立ち上がった。
イヴェリンは形のいい眉を寄せた。それは禁忌、というものだ。
「まだ、忘れられないのでしょうよ――それもしかたのないことではないかしら」
そう言うとゴンゾルフは、エリーシャが何をしているのか確認してきて欲しいとアイラに頼んだのだった。
今アイラがテーブルに置いたクッキーはゴンゾルフが自分で焼いたものなのだそうだ。新作なので、皇女殿下に差し上げたい――と。
器用な男だと感心しながら、アイラはエリーシャに声をかける。
「クッキー、ゴンゾルフ団長が焼いたものだそうですよ。エリーシャ様にぜひ差し上げたいって」
一応、魔術研究所を経由して毒が入っていないかどうかの確認はしてある。ゴンゾルフ自らそうするように薦めたから。
「あら」
エリーシャは熱心にページを繰っていた本を置いて立ち上がった。