後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
それを見ながら、アイラは左手の中指にこっそり手をやる。そこにはカーラからもらった銀の指輪がはめられていた。
「さーて、出陣の時間よ、皆!」
エリーシャが宣言した。
「さっさと、おじい様の会食をすませて帰ってきたら宴会するわよ!」
「……厨房に料理は注文してあります」
すかさずイリアが言った。ファナはエリーシャに駆け寄って、彼女のショールがまがっているのを直す。
皇女宮を出ると、エリーシャはしずしずと歩き始めた。
皇帝のいる宮に入ると、すれ違う侍従たちが壁際によって一列に並んだエリーシャたちが通り過ぎるのを静かに待つ。
「――アイラだったか?」
会食のために用意された広間に入り、うつむいて壁際に並んでいると男に声をかけられた。
「……アイラ・ヨ――」
名乗りながら、顔を上げたアイラは途中でとまってしまった。
「さーて、出陣の時間よ、皆!」
エリーシャが宣言した。
「さっさと、おじい様の会食をすませて帰ってきたら宴会するわよ!」
「……厨房に料理は注文してあります」
すかさずイリアが言った。ファナはエリーシャに駆け寄って、彼女のショールがまがっているのを直す。
皇女宮を出ると、エリーシャはしずしずと歩き始めた。
皇帝のいる宮に入ると、すれ違う侍従たちが壁際によって一列に並んだエリーシャたちが通り過ぎるのを静かに待つ。
「――アイラだったか?」
会食のために用意された広間に入り、うつむいて壁際に並んでいると男に声をかけられた。
「……アイラ・ヨ――」
名乗りながら、顔を上げたアイラは途中でとまってしまった。