後宮に売り飛ばされたら皇女を押しつけられました
「まーね、わたしの侍女ってとこ」
ぎょっとして、アイラはエリーシャを見やる。
「大丈夫、身元も知ってる――ていうか、わたしの情報屋というか密偵というか。個人的に雇ってるんだけどね」
ビールのジョッキを一気にしたパリィは遠慮なく、お代わりを注文した。
「ダーシー坊ちゃんの件だけどな」
パリィは女給がお代わりのビールを置いて立ち去ると口を開いた。
「今回の縁談には大いに乗り気だそうだ」
「――でしょうね。未来の女帝の夫になれるっていうのに乗り気にならない人がいるならよほどの事情があるんでしょうよ」
「まあ、そう噛みつきなさんなって」
遠慮なく鶏のフライに手を伸ばしながらパリィは言う。
「こっちにだって説明する手順ってもんがあるんだからさ」
「それで?」
茹でた芋を大量に皿にさらいながらエリーシャは返す。
「最近流行ってる妙な宗教の話、前にしただろ?」
「ああ、国内の貴族が関わってるってやつね?」
「セシリー教団って知ってるか?」
うぅん、とエリーシャは首を横に振った。アイラもぶんぶんと同じようにする。
ぎょっとして、アイラはエリーシャを見やる。
「大丈夫、身元も知ってる――ていうか、わたしの情報屋というか密偵というか。個人的に雇ってるんだけどね」
ビールのジョッキを一気にしたパリィは遠慮なく、お代わりを注文した。
「ダーシー坊ちゃんの件だけどな」
パリィは女給がお代わりのビールを置いて立ち去ると口を開いた。
「今回の縁談には大いに乗り気だそうだ」
「――でしょうね。未来の女帝の夫になれるっていうのに乗り気にならない人がいるならよほどの事情があるんでしょうよ」
「まあ、そう噛みつきなさんなって」
遠慮なく鶏のフライに手を伸ばしながらパリィは言う。
「こっちにだって説明する手順ってもんがあるんだからさ」
「それで?」
茹でた芋を大量に皿にさらいながらエリーシャは返す。
「最近流行ってる妙な宗教の話、前にしただろ?」
「ああ、国内の貴族が関わってるってやつね?」
「セシリー教団って知ってるか?」
うぅん、とエリーシャは首を横に振った。アイラもぶんぶんと同じようにする。