untitled
そう言ったのは、陸だと思う。


「俺らだって恋愛対象は女の子だけど、女なら全員好きなわけじゃないじゃないっすか。別に龍がどうこうは関係なく、そういう考え方って自意識過剰だと思います」


「それに、どんな人が好きだって、今まで仲良くしてたのが全部なしになるのっておかしいし、俺は龍がゲイでも、木村先輩がゲイでも、まぁびっくりはするけど、気持ち悪くはないです」


「あ、なんか熱くなってすんません」


出てくる。
別に聞いちゃいけないことを聞いたわけではないけど、
足が自然と動いて、
隠れた。


物陰でしゃがみこんで、
ひざをかかえる。

部室のドアが開閉する音がしたから、木村先輩達も練習に向かったんだろう。


そろそろ私も準備を始めないと。


そう思うのに動けなかった。
ぽろぽろ涙が溢れて止まらなかった。
< 24 / 36 >

この作品をシェア

pagetop