愛しのケダモノ王子
「タモツ君、どうしたの?
まさか、わざわざあきらに会いに?」
「あ、亜由子ちゃん、昨日はどうも。
ユースケたち、また飲みたいって言ってたよ」
「ホントー?
てか昨日ごめんね?あきらのこと任せちゃって」
「ううん、全然。あきらとは昔からの仲だし」
「あきら、そんなお酒強くないのにさ、昨日はなんか悪酔いしちゃったみたいで…あれから大丈夫だった?」
「ちょっと、亜由子!」
亜由子がタモツにコソッと聞く仕草をして、私は慌てて間に入った。
「なんでこんなとこいるのよ」
「だからメールしたって…」
「そーいうことじゃなくて!」
道ゆく人たちの視線が突き刺さる。
ただでさえ男子がいるだけで目立つのに、羽山のような風貌じゃさらに注目の的だ。
「別に女子大に興味あって来たんじゃないよ?」
「誰もそんなこと言ってないでしょ!」
「あ、ハイ、これ忘れ物」