愛しのケダモノ王子
「知らんってあきら、タモツ君とは同じ高校だったんでしょー?
タモツ君、昨日のメンバーの中では1番イケメンだったしマユミも狙ってたんだよ?
でもタモツ君はあきらのこと…」
「だから、あんなヤツ知らないってば!」
思わず声をあげてしまい、辺りが一瞬しんとした。
「…ったぁ…頭に響く…」
「ちょっと、あきら大丈夫?
タモツ君と何があったか知らないけど、あきらがそんな取り乱すなんて珍しいね」
「……だから何もないってば」
「もしかして、元カレだったりして…」
亜由子の言葉と同時に、始業を知らせるチャイムが鳴り響いた。
私は亜由子の視線を無視してテキストを広げた。
だけど何とか出席したものの、講義なんて全然頭に入って来ない。
どうしても昨日の記憶が思い出せなかった。
みんなの会話に加わりたくなくて、ひとりでひたすら飲んでいた。
アイツがヘラヘラと他の女に向かって笑ってる姿を見ていたら、無性に腹が立ってきて…