愛しのケダモノ王子
…何にも変わってない。
アイツは…
羽山は昔っからそういう男だ。
羽山保(ハヤマタモツ)とは、高校の3年間同じクラスだった。
入学当初から、整った顔立ちにスラリとした身体のその風貌から、羽山は何かと目立っていた。
だけど実際カッコつけるようなこともなく、むしろ人懐こいその素朴なキャラが人を惹きつけて、
羽山の周りにはいつも人が溢れていた。
どんな人間に対しても分け隔てなく接せるから、
当然羽山に好意を持つ女子だって少なくなかった。
羽山の欠点を挙げるとしたらただひとつ…
とてつもなく女癖が悪いところだ。
高校3年間の間に、私が知る限り羽山が付き合ってた女の数は10人以上。
それも長くて3ヶ月も持たない。
来るもの拒まず、逃げるもの追わず。
羽山は、そんな男だった。
『女のコってさ、たまに何考えてるかわかんないよな。
急に不機嫌になったり、怒り出すしさ』
『羽山が何か余計なこと言ったんじゃないの』
私と羽山は割と仲の良いクラスメイトで、羽山は私によく彼女との相談を持ちかけてきた。