愛しのケダモノ王子
『あきらの考えてることなら分かるんだけどなぁ。
“あー腹減った、帰り何か食ってこうかなー。”
…違う?』
『うるさいな!そんなこと思ってないし!』
だけどタイミング悪く、私のお腹が鳴る。
私は恥ずかしくて、お腹をおさえた。
『ほらー、やっぱ空いてんじゃん!
何か食いに行こうぜ、俺も腹減ったし』
放課後、よく2人でファーストフード店にも立ち寄った。
『…彼女いるのに良いの?他の女と来て』
『いーの、アイツこういうとこ好きじゃないみたいだし。
それにあきらは友達だろ』
『…あ、そ』
『あきらはさ、彼氏とか作らないの?』
『…別に欲しくない。私は羽山みたいにサカッてないから』
『ひど!俺別にサカッてなんかないし!』
『ハイハイ』
…いつからか、羽山が私に笑顔を見せるたびに、心臓が締め付けられるような痛みを感じるようになった。
ヘラヘラして、誰に対しても優しい羽山がたまに無性にムカつく時があった。