愛しのケダモノ王子
…高校3年の夏。
毎回テスト時期になると、羽山は私にテスト勉強を見てくれと言ってくる。
その日も2人で教室に残り勉強をしていた。
『なぁ、あきらって進学?』
『…そうだけど』
『どこ受けるの?』
『J大』
『マジかよー女子大じゃん』
『羽山はK大だっけ?本気なの?あんたのこの学力で』
『俺はやるときはやる男なの!』
『ふーん、まー頑張って』
『あきら、お前絶対無理だと思ってるだろ』
正直、その通りだった。
『見てろよ?絶対受かってやるから!
その代わり、俺がもしK大受かったら俺の言うこと何でも聞けよ?』
『ハイハイ、分かったから』
私は適当に返事をした。
そしてその冬、羽山は本当にK大に合格した。
『みろ!あきら!』
羽山は自慢気に合格通知を私に見せてきた。
『マジで受かったの?すごいじゃん』
信じられないくらいだった。
あの羽山がまさか、本当に受かるなんて。
だけど、純粋にすごいと思った。
『あきら、覚えてる?俺がK大受かったら、何でも言うこと聞くって約束!』
『仕方ないな〜…変なのはやめてよ?
ハンバーガーくらいだったら奢ってあげても良いけど……』