青空の下へーその手に願いを込めてー
それから、目で

「行っておいで」

と目配せされ、私は前の扉を見つめた。

……よし

病室の引き戸に手を伸ばす。

ガラガラ…

もしかしたら寝ているかもしれないので、極力ゆっくりドアを開ける。

ふわり、とかすかに風を感じた。

どうやらその風は、突き当たりの開け放たれた窓から入ってくるものらしい。
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