青空の下へーその手に願いを込めてー
「うん。あ、ちよちゃん、お花、好き?」

すると、今度はすぐに反応が返ってきた。

「…チューリップが…すき」

言葉遣いが、少し幼くなり、顔つきも大人びたそれよりもあどけなさを感じさせる。

きっと、これが本来のちよちゃんなんだろうな…。

私はにっこり笑ってから、手に持っていた物を差し出した。

よかった。手を握りしめたとき、折れちゃったかと思って不安だったんです。

「……これ…」

ちよちゃんの顔がほんのり明るくなる。

「……一輪だけ、もらって来ちゃった」

ちよちゃんの手に渡ったのは、一輪の赤いチューリップ。
< 56 / 102 >

この作品をシェア

pagetop