青空の下へーその手に願いを込めてー

************



自分の病室に戻ってから、先生に問う。

「なんで教えてくれなかったんですか」

「ん?何がだい?」

「ちよちゃんのパパとママが来ることです」

先生はいたずらっ子の顔になって言う。

「敵を欺くには、なんとやらってね」

……私は敵ですか…。

「ははっ、なんてね。敵なんてめっそうもないですよ。ごめんごめん、音羽ちゃんとっても素直だから、顔に出ちゃうんじゃないかと思ってね」

あと、急に頼んだから、伝える暇も無かったんだ。と先生は付け加えた。
< 64 / 102 >

この作品をシェア

pagetop