青空の下へーその手に願いを込めてー
「それなら、なんで入ってきてすぐに言わなかったんです?」

ちよちゃんの病室に入ってすぐに教えてあげたらよかったのに。

……それなら、ちよちゃんの涙も見なくて済んだのに…。

「音羽ちゃん」

「あ、は、はい、なんですか」

急に呼ばれて我に戻った私は、ベッドの横に立っている先生を見上げた。

「泣くのってね、ストレス発散になるんだ。ちよちゃん、相当さみしかっただろうね。泣くのを見たのもあれが初めてだ」

治療だってつらい物もあるのにね。

そう言いながら困り顔をする。

「つらいときには泣くのもひとつのリフレッシュ方法なんだ。音羽ちゃんはそのお手伝いをしてくれた」

と、こちらに先生の手がのびる。
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