青空の下へーその手に願いを込めてー
そのパン、案の定カビてたんだよねぇ。

と、明るく付け足した東野先生。

ということは、しばらく明原先生には会えないんですね…。

「あ、そうそう、明原先生なら、丁度この隣の病室が空いてたから、そこで入院…みたいなことしてるよ」

……!

私はむくりとベッドから起き上がり、ドアへ向かおうとして、

「はーいはい、行きたいのは分かりますが、診察が先になりまーす」

東野先生に抱き止められてしまった。

なかなか男性に抱き止められたことがない私は慌てる。

「もう、音羽ちゃんってば、積極的になったもんだねー…。そんな明原先生ばっかり行かれたら、おじさんさみしいぞー」

と、苦笑される。
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