青空の下へーその手に願いを込めてー
よかった……。

ほっとしたと同時に、恥ずかしさが込み上げてきた。

たぶん、先生は寝ぼけていたのだろう。

小児科の子供をあやすときに、あんな口調だったことを思い出しながら納得する。

「…こんなに恥ずかしいのに、先生は全部覚えてないんでしょうね…」

ぽそりとつぶやく。

覚えていられても恥ずかしいが、全く忘れられるのも、少しだけ寂しいような…。

早く、病気を治そうね…って、

「……先生こそ、もうこの時期に腐ったパンなんて食べちゃだめなんですからね…!」
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