本気で大好きでした。

そう言ったら、那緒は静かに微笑んだ。

あたしはただ心配だった

那緒がちゃんと家に帰ってくるか。


あたしがこんなに人の優しさに触れたのは久しぶりだった。

高校に入ってよかった…

素直にそう思った


病室を出ると

体が“びくっ”と反応した。

那緒の泣き叫ぶ声が聞こえたから。


そして

廊下の長いすにまだ彼方がいたから。


ただ静かに俯いて座っていた。


「彼方…… なんでまだいるの?」

「理緒… やっぱりおれが送っていかなきゃ、理緒ひとりだなって思って。 おれいなかったら、理緒また泣くんじゃないかなって」


そう言って、微笑んだ。

那緒と同じように、とってもやさしく。


「彼方ぁ…… ありがとぉ」


そう言って、彼方に抱きついた。

無意識だった


「うぉっ」


驚きながらも、さっきのように頭を撫でてくれた。
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