ティーチ？

「……けどまあ、」



そんな先生の声が聞こえて、私はゆるゆると、顔を上げた。

視線の先の宮内先生は、いつものやさしい笑顔だ。



「僕は去年、鎌田のクラスの授業を担当してたけど。篠岡さんも知ってるとおり、鎌田は誰にでもフレンドリーな奴だったよ」

「………」

「だから、『まずは友達から』って形で単刀直入に話しかけるのが、１番いいんじゃないかな」

「……はい」

「大丈夫。篠岡さんは、ひとりでここを訪ねて来れるくらいなんだから。きっと、うまくやれるよ」

「……はい、がんばりますっ」



気合いを見せるように先生の前で両手のこぶしを持ち上げてみせると、彼は「頼もしいねー」と小さく声を上げてまた笑った。

……なんだろうな、宮内先生の穏やかな声は、聞いていてすごく安心する。

その声に励まされるだけで、不安な気持ちも、中和してくれるみたいだ。