ティーチ？
ベタがBetterなのです
ああ、今なら私の心音、聴診器がなくても聞けるかもしれない。

思わずそう考えてしまったのは、今現在、私の心臓がありえないほどの働きをしているからで。

私は震えそうな両足を叱咤し、意を決して、校舎の影から歩きだした。

見つめる先には、あの人の姿。



「あっ、あのあのあのあの！」

「……ん？」



校舎裏に作られた水飲み場でバシャバシャと頭と顔を洗っていた鎌田先輩が、私の声に気づいて、したたる水滴もそのままにこちらを振り返る。

……ぐはっ、水に濡れた先輩、せくしー……。

あまりのレアショットについつい思考が逸れそうになるものの、私はなんとかそれにブレーキをかけて。

まずは、手に持っていたタオルを勢いよく差し出した。



「えっと、これよかったらどうぞ！」

「へ？　あ、ありがとう」



一瞬間の抜けたような声を上げたものの、先輩は素直にタオルを受け取ってくれた。

もうそれだけで、私は天にものぼるような気持ちだ。
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