ティーチ?
渡したタオルで顔を拭く先輩を見上げながら、私は「あの、」と口を開いた。



「鎌田先輩、実は私……先輩がいっつもお昼休みのサッカーの後ここに来ることを知ってて、待ちぶせしてたんです」

「え?」



唐突な私のカミングアウトに、先輩が当然ながら、驚いたように目をまるくする。

それに構わず、私は自分の右手を差し出した。



「私は、2年生の篠岡 沙知といいます! ……鎌田先輩、私とお友達になってください……!」



呆気にとられたような表情で、目の前に差し出された手と、私の顔を無言で見比べていた先輩は。

その表情のまま、数秒後ようやく口を開いた。



「……待ちぶせ? してたの?」

「は、はい!」



彼の問いかけに対し、こくこく首を上下させた私の反応に。



「……ぷっ、」



不意に鎌田先輩が、タオルを首にかけて小さく吹き出した。
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