ティーチ?
純情複雑乙女ゴコロ
「──そして、この後漢の混乱期から西晋による三国統一までの三国時代について、ほぼ同時代の人物によって書かれた重要な史料があります。それが、……たぶんみんなも聞いたことあると思うんだけど、いわゆる『三国志』というもので──……」
おとなしく自分の席で頬杖をつきながら、私は教壇の上の宮内先生を見つめていた。
先生は時折手元の教科書に視線を落としつつ、三国志について説明をしている。
もともと得意とはいえない世界史だけど……今日は特別、授業に身が入らない。
《あ、いや……ごめん、篠岡さん》
先週の金曜日の放課後。そう言って謝った先生は、どこか傷ついたような、なんとも言えない表情で。
軽々しく近づきすぎたのは私の方だったのに、謝らせてしまった。申し訳なさそうなカオを、させてしまった。
……馬鹿だ、私。
先生は“先生”なのに。“先生”だから、私の話を聞いてくれるのに。
あんな、友達にするみたいなことしようとして……そんなの、先生だって嫌がるはずなのに。
「(……ごめんなさい、先生)」
心の中で、呟いて。
私は板書を写すフリをして、顔を伏せた。
おとなしく自分の席で頬杖をつきながら、私は教壇の上の宮内先生を見つめていた。
先生は時折手元の教科書に視線を落としつつ、三国志について説明をしている。
もともと得意とはいえない世界史だけど……今日は特別、授業に身が入らない。
《あ、いや……ごめん、篠岡さん》
先週の金曜日の放課後。そう言って謝った先生は、どこか傷ついたような、なんとも言えない表情で。
軽々しく近づきすぎたのは私の方だったのに、謝らせてしまった。申し訳なさそうなカオを、させてしまった。
……馬鹿だ、私。
先生は“先生”なのに。“先生”だから、私の話を聞いてくれるのに。
あんな、友達にするみたいなことしようとして……そんなの、先生だって嫌がるはずなのに。
「(……ごめんなさい、先生)」
心の中で、呟いて。
私は板書を写すフリをして、顔を伏せた。