色褪せた天使【完】
『――…とは…おとは…』
誰かが私を呼んでいる。
『―…さあ、こっちにおいで』
優しい…お母さんの声。
私はふらふらとその声に近付く。
『あんたが死ねばよかったのに』
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「うわあああああっ!!」
意識を呼び戻し、跳び起きると、
私は見慣れないベッドの上に
寝ていた。
シーツと体中が、
べっとりと
気持ち悪い汗をかいていた。
(……夢…か…。)
鬼のような形相で
私を睨む母の顔が…
夢でよかった。
コンコン、ガチャ
「だ、大丈夫ですか?」
扉をノックし、
恐る恐る部屋に入ってきた人物は
私を見下ろしていた
あの少年の顔だった。