色褪せた天使【完】
「…当たってるような、
ハズレてるような。
…私にもいろいろあるから」
私は、
苦笑いでごまかすことしか
できなかった。
「帰るとこ、ホントにあるの?
ツライなら、
ここに居ても…いいよ。」
彼はまっすぐ、
私の目を見つめていた。
"帰るとこ、ホントにあるの?"
その意図が、
私には読めなかった。
初対面の彼が、
なぜ
見ず知らずの私に
構うのだろうか。
「大丈夫だよ。
それに、
初対面の人に
そこまで迷惑かけるわけには、
いかない」
その時、突然
彼は私を抱き締めた。
「君はもう…
忘れてしまったんだね。」