色褪せた天使【完】
「え…どういう…?」
私は戸惑いを隠せなかった。
すると、
彼は悲しそうな声で言った。
「僕は、5年前、
君に命を救われたんだ。
ここから近くの交差点で、
車に轢かれそうになった
僕を突き飛ばして、
君が車にぶつかったんだ。」
「…君は、あの時の子供…?」
そう。
その事故はちゃんと覚えてる。
私が堕天した理由の一つだから。
普通、人間に天使は見えない。
だけどその子は私が見えていて、
そして私を追いかけて…
天使は、
死んだ人の魂の観察と
天界への輸送が仕事で、
生きている命に
関わってはいけない。
わかってはいたけど、
私の体は動いてしまったんだ。