色褪せた天使【完】




「え…どういう…?」




私は戸惑いを隠せなかった。



すると、

彼は悲しそうな声で言った。





「僕は、5年前、

君に命を救われたんだ。


ここから近くの交差点で、

車に轢かれそうになった
僕を突き飛ばして、

君が車にぶつかったんだ。」




「…君は、あの時の子供…?」





そう。


その事故はちゃんと覚えてる。



私が堕天した理由の一つだから。




普通、人間に天使は見えない。


だけどその子は私が見えていて、

そして私を追いかけて…




天使は、

死んだ人の魂の観察と
天界への輸送が仕事で、


生きている命に
関わってはいけない。



わかってはいたけど、


私の体は動いてしまったんだ。





< 6 / 12 >

この作品をシェア

pagetop