色褪せた天使【完】
「覚えていてくれて、
……よかった。
君の姿はあの時と変わらないね。
ずっとお礼が言いたかったんだ。
助けてくれて、
ありがとう」
彼は私から離れて、
照れ臭そうに
にっこりと笑った。
なんだ、
ちゃんと笑えるじゃない。
それに、
いつの間にか、
大人になっていたんだね。
人間と天使では
時間の流れが違うから、
私はあの時と
あまり変わらないけれど、
彼の時間はもう、
5年も経っていたんだ。
私は涙が溢れてしまった。
彼はそれを服の袖で拭いながら
私に微笑みかけた。
「ご飯、食べていきなよ」