色褪せた天使【完】
それから私は、
数日間、お世話になった。
たくさん話をした。
彼の名前を初めて聞いた。
"青井愛輝(アオイヨシキ)"
私のことを天使だと
(今は天使じゃないけど)
知っているから、
お互いの世界の話を
たくさんした。
私の心は揺れ始めていた。
私は天界へ帰ることを
望んでいる。
私の、産まれ育った場所だから。
――でも、
このまま彼のそばに居るのも
いいのではないか。
私が堕天したことを話して
ここに居たいと言えば、
優しい彼はきっと頷くだろう。
その時頭をよぎったのは、
"帰るとこ、ホントにあるの?"
と言っていた、彼の言葉。