色褪せた天使【完】
もしかして、知っていた…?
私が堕天していることを。
(いや、そんなことは…
だって、
5年前と何も変わってないって…)
いつものように、
私達は
向かい合ってご飯を食べていた。
一人暮らしの愛輝が、
目の前に人が居るからと
嬉しそうにご飯を食べる姿が、
脳裏に焼き付いて離れない。
「どうした、音葉?」
そうか、もう、これが
"いつも"
の
光景になってしまう程、
近くに居たんだ。
近くに居すぎてしまったんだ。
「…私が、
もう帰る場所がなくて、
ずっとここに居たい
って言ったら…
どうする?」
(あぁ、私はずるいな。
こんな回りくどい言い方で、
彼の気持ちを試すなんて)