とべない鳥
白の世界

一人

看護士の案内で自分の病室に戻った
看護士も入って来た
「紹介が遅れてごめんね」
看護士は笑顔だった
まるで見飽きたお面だった
でも、可愛らしい顔立ちに薄く化粧してる若い看護士
「要ちゃんの担当看護士の佐藤みどりです」
お面はずっと話し続けた
「もう夕ご飯の時間なのに要ちゃんいなくてびっくりしたよ」
「夕ご飯、要ちゃんは食堂に食べに行くんだけど、もう看護士と医者でいっぱいだから今日は部屋に持ってきたよ」
「でも雄大くんと一緒に居たんだね」
「雄大くん、優しい子でね。この病院では誰とでも仲良いのよ」
「この部屋の下の部屋な・・・」
『ねぇ、』
佐藤みどりという看護士の話をさえぎった
「なに?要ちゃん」
『ずっと笑ってるのって疲れない?』
「これが私の仕事だもの」
『そう・・・』
「白衣の天使が無表情で居たら印象悪いでしょ?あの看護士笑わねぇって無駄な喧嘩買うのは面倒なのよ」
笑顔で何とも天使らしくない事を言う看護士
「自分で天使って言っといて、こんな事言うのは悪魔かもしれないわね」
と笑ってる変な看護士佐藤みどり
「黒いしっぽが見えたら教えてね、一生懸命隠すから(笑)」
よく話す看護士だな
なかなか気に入ったよ、佐藤みどり
『ねぇ、部屋黒くしたいんだけど』
「黒い部屋は病院にはないと思うけど」
『白いと落ち着かない』
「要ちゃんの部屋は黒いの?」
『大体ね』
「私の部屋は緑色と青色よ」
『はぁ?』
何言い出すのかと思えば・・・
『聞いてないけど』
「聞かれてないけど?(笑)」
屁理屈かよ
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