色褪せた羽【完】
「音葉!」
俺は彼女の元へ走り、
力の限り抱き締めた。
「どこにも…行くなよ。
そばに、居てくれよ…。」
「愛輝…!
なんで、
追いかけてきちゃったんだよ…
そんなんじゃ愛輝は
いつまでも幸せになれないよ」
俺は涙が止まらなかった。
音葉の、
弱々しく握る腕も、
涙でつまる声も、
その全てが愛しいのに。
「音葉が居なきゃ、
幸せなんていらない。
音葉に出会った5年前も、
一緒に過ごした数日間も、
それらが全部
俺の幸せだ…!」
「バカなんだから…」
そう言って、
泣きながら笑う音葉の顔も
その全てが愛しすぎる。