君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
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絹谷晃穂
W-UP 800m 400 SKPS +400 choice
swim 1000m odds 1 fly→ba 2 ba→br 3 br→fr
swim 50m odd EZ even FAST / HRup
loosen 100m
PKS 50m
SKPS 100m
c-down 400m 400 choice
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そんな紙切れを手掛かりに
水着に着替えてプールサイドで泳いでいく。
アップから、800m。
ありえないでしょ。
どれだけプールを往復するのよ、アップから。
最初の400mは、Swim-Kick-Pull-Swimの順番で。
残り400mは自由。
そんな感じで指示通りに泳ぎは進めていくものの、
プールの中にいる間、絶好調の時は何処までも体が軽いのに、
今は疲労感だけが増していく。
そんなにも乳酸がたまるような練習はしてないはずなのに。
今は2時間ごとに張り出される、
練習メニューに翻弄される。
『絹谷』
コーチが怒鳴る声だけがプールサイドに響くけれど、
私はメニューを熟すことだけに必死な時間だった。
迎えたインターハイ当日。
強化合宿で何も実りを得られなかった私は、
気分も憂鬱なままに、学院のバスに乗り込む。
地区予選からここまで、
突破してきた最後の試合。
皆に送り出されるように、合宿所から見送られたけれど、
不安ばかりで……。
成績に、タイムに繋がらない泳ぎ。
こんな泳ぎしか出来ない自分に苛立ちながらも
この状況下から少しでも逃げたくなってしまう自分に叱咤。
逃げだすのも結果が出せないのも、
許せなくて自分を追い込んでいく。
もやもやといろんなものが混在する心の中。
それでも……あんなことがあっても、
アイツの姿を探してる私が居る。
アップの時間が過ぎて、
ゆっくりと大会開始が告げられる。
試合時間が迫ってくる中、
いいようのない不安が迫ってくる。
吐きそうになりながら、
緊張感をやり過ごして向かう
プールサイド。