君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
19.アイツのLIVE ~高校時代そして現代~ -晃穂-
*
晃穂へ
今日はビッグニュース。
俺、今度……智先輩のLiveに出演決まったよ。
ボーカルは尊夜。
俺たちの弟だぜ。
この間、初めてアイツの歌聞いたんだけど
すっげぇ上手いの。
神様、アイツにいろんなもの与えすぎな気がするよ。
んじゃ、日にち決まった電話するから絶対見に来てくれよな。
紀天
*
二学期になって暫くしてから、
突然届いたアイツからのメール。
ドラムを始めたアイツが、
とうとうLIVEをするらしく、
興奮のままに送りつけてきた報告メール。
そんなメールを何度も読み返しながら、
不思議な感覚が包み込む。
翌朝になっても、嘘ではないことを確かめるように
宝珠様との通学中の車内で携帯を見つめた。
大丈夫、夢じゃない。
アイツ……LIVEに出るんだ。
「あらっ、晃穂どうしたの?
嬉しそうでしてよ。
晃穂を笑顔にするのは、紀天かしら?」
そう言って宝珠様は、私を見て柔らかに微笑んだ。
「昨日、紀天がメールしてきたんです。
今度、LIVEすることが決まったって」
「そうみたいね。
高臣様から私も伺っているわ。
紀天、昂燿行ってからドラムの練習を物凄く頑張っているみたいね。
智も紀天と練習してると楽しいって言っていたわ。
怜も気にかけてくれているみたいだから、
貴方も精一杯、応援してあげなさいな」
宝珠様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。