君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】

そこで重さんのパンを約1800円分くらい購入して
私はその清算を済ませた。


サービスだよっと重さんが、袋に入れてくれたのは
此処で作ったパンの耳を使った、カリッカリのラスク非売品。


買い物袋、二袋分買い込んだパンをアイツがぶら下げて
今度向かったのは、ゲームセンターにカラオケ。



そして、私のデューティーだった宝珠様の会社が経営する楽器店。



いつもの様にアイツがスタジオでドラムを練習しているのを、
一番近くで見届けながら、私の半日は過ぎていった。


21時。

スタジオを出た後に向かったのは、
私のマンションから二駅離れた場所にある屋台の居酒屋。




ホント、しゃれっ気のない二人。




そこでビール・日本酒と晩酌しながら晩御飯を終えると、
ポッポと火照った体を掌でパタパタ仰ぎながら千鳥足で空を見上げる。



「おいっ、おい、大丈夫かよ。
 晃穂」



慌てるように心配して声をかけるアイツ。



「らいじょーぶ。
 一人で、へいきらだから……」



大丈夫、一人で平気だから。




いつもの口癖、いつもの虚勢。



「ほらっ、家まで送ってやるよ。
 歩けるか?それとも、負ぶってやるか?」



紀天の心地よいを聴きながら、
私の意識は微睡んでいく。



次に目が覚めた時、私は体温の暖かさと、心地よいリズムに
引きづられる。



「起きたかよー」

「うん」

「まだこうしてろ。
 後少しで、マンションだから。

 自販機で水買った。
 飲めるなら、飲んどけよ」


そう言って、ひょいと私に手渡す。


足元に視線を向けると、私は裸足のままアイツの背中におぶられてた。
 


「ミュールは?」

「心配ねぇよ。ちゃんと持ってっから」


おぶられたまま、アイツの体温を感じながら
目の前の世界を見ていると、見慣れたマンションが視界に入った。


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