君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
そして最後に、尊夜の歌声が重なり……尊夜とはもるように、
SHADEのボーカリスト琢也さんの歌声が重なっていく。
最後の方には、会場に居たそれぞれが楽器を持って
セッションに加わってくる賑わい。
演奏を終えた頃には、最初の緊張感なんて吹っ飛んでで
楽しくて楽しくて仕方なかった。
その後も、次から次へとメンバーを入れ替えて続けられていくセッションの嵐。
初めて会う音楽を愛する存在、
久しぶりに再会した音楽を愛する存在。
ずっと憧れ続けてた存在。
そんな仲間たちと入り乱れて、音楽を奏で続ける夢のような時間。
そんな時間を過ごして、会場を後にする頃、
俺と尊夜は、会場に居た八代と友樹に話かけられた。
八代と友樹。
二人とも、初対面で今日、最初に演奏した奴らだった。
「紀天君と伊吹君だった?
怜さんがそう呼んでた気がしたんだけど」
「俺は廣瀬紀天。
んでこっちは……」
「廣瀬志穏【ひろせ しおん】です」
突然、隣に居た尊夜は、目の前の奴にそうやって名乗る。
「紀天と志穏?
あれっ?さっきは……」
「伊吹はニックネームって言うか、
別の名前で。
オレのことは、志隠って呼んでください」
そう名乗ったアイツの名前。
アイツ自身が持つ、本当の名前。
「紀天と志穏だね。
了解、少しお茶して帰らない?
俺は一之瀬八代【いちのせ やしろ】。
んで、こっちは神友樹【じん ゆうき】」
そう言って自己紹介してきた奴らと一緒に、
近くのファミレスに入る。
注文して、商品が届く前に
八代と名乗った奴が、口を開く。