君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
俺を諭すように口を開いた、智早さんの言葉が凄く重くのしかかった。
「有難うございます。
もう少し考えます。お疲れ様でした」
「お疲れ様」
スタジオから寮まで一緒に戻って、
寮の近くで別れると、それぞれの建物へと入っていく。
エレベーターを使って、俺と尊夜が過ごす部屋まで戻ると
アイツは、床の上で崩れるように眠ってた。
床の上には、アイツが完成させたであろう
コード記号と、歌詞らしきものが綺麗な文字で綴られている。
起こさないように尊夜を床から抱え起こして、
ベッドに寝かせると、そのまま俺はアイツの落書きを見つめる。
そうか……。
俺たちがやってみたい、そう思う曲を作って
八代にぶつけてみりゃいんだ。
それでダメなようなら、
俺には、Rapunzelは続けられない。
そう言うことだよな。
そのまま俺も明け方まで、鼻歌を口ずさみながら
メロディーを考えて、それに歌詞を乗せていく。
何日も睡眠時間を削って完成させた俺たちの曲を持って、
Rapunzelの練習に出たのは一週間後。
一週間ぶりのスタジオで、
八代らにぶつけた、俺と尊夜の曲は惨敗。
惨敗と言うよりも【Rapunzelに似合わない】と
一刀両断されて、そのまま思いがけない言葉を突きつけられた。