君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】



「いらっしゃい。
 どうぞ、こちらのお席へ」



誘導されたOLさんたちは、そのまま俺の隣に座って、各々にカクテルを注文していく。



JAZZの調べに包まれながら、ドリンクを飲み終えた頃再びドアが開く。




「おばあ様、ただいま。
 茂さん、こんばんは。奥の部屋、お借りします」



店内に尊夜が入ってきた途端に、
店内の女性客が、黄色い声をあげる。


そんな女性客たちの間を笑顔を振りまきながら通過して、
俺の傍まで来ると、尊夜は奥の部屋に来るようにと指で合図を送ってきた。


尊夜の後ろをついて歩く二人。




奥の部屋へと全員が入ると、
内側からカチャリと鍵をかける尊夜。




「亀城託実くんと、宮向井隆雪くん。
 紀天も覚えてるかい?」



ソファーに座った途端に、会話をきりだす尊夜。



「あぁ、覚えてる。
 亀城と宮向井を呼んでどうしたんだ?」

「スタジオでボイトレした後この間、バンドに誘われたんだ。
 オレたちがRapunzelを脱退したことは、仲間内では広がってるみたいでさ」

「それで……お前は、一緒にすることにしたのか?」

「一年間はサポートで、オレの時間が会う時だけ。

 今は瑠璃垣の方が今は忙しい。
 あの場所で、オレのポジションも後継者として確立させないといけないから」



そう言って尊夜は想いを口にする。


「それで……廣瀬先輩はどうですか?
 学院祭の時みたいに、もう一度俺たちとやって貰えませんか?」


真っ直ぐに俺を見据えて力強く告げるのは、宮向井。


「あの頃よりは、俺もベース上手くなったんですよ」


俺を迎え入れようと、言葉を続ける亀城。

< 150 / 245 >

この作品をシェア

pagetop