君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
なんて砕けて言葉を返した私は、
紀天が返す言葉に、紀天と満喫する楽しい高校生活が
ガラガラと崩れ落ちてしまう。
『晃穂、オレさ高等部から昂燿【こうよう】校に内部転入することにした』
昂燿校もまた神前悧羅学院の一部。
私と紀天が通っていた神前悧羅学院は、
三つの学校と、三種類の特徴を持ってそれぞれの校舎が運営されている。
昂燿校。
紀天が通う昂燿校は幼等部から大学院の卒業まで全寮制の男子校で、
都心から随分と離れた山奥に建てられた、通称:要塞?っと言われるドイツの街並みに似せた
超巨大学園都市。
超巨大学園都市の入り口に関係者しか入れない門があり、
部外者は一切、中へ立ち入ることが出来ない悧羅学院において一番古く歴史が流れている校舎。
悧羅校。
私と紀天がずっと通うと思ってた悧羅校は、都心の一等地にドーンと構えるイタリアの街並みに似せた学園都市。
男女共学とは記されていても、主に男女が同じ校舎で勉強することはない。
男子校舎と女子校舎にわかれて普段は勉強をして共学授業の時のみ、
天の川と呼ばれる陸橋を渡って行き来する。
完全寮生活の期間は中等部卒業まで。
海神校。
最後に紹介する海神校は、三校の中では一番新しく歴史がそこまで深くない校舎。
海沿いにギリシャの街並みに似せた学園都市が広がっている。
昂燿校、悧羅校の少し閉鎖的な空間とは違って、
今の時代のニーズにあわせてきたようなスクール方針。
幼等部から大学院まで、完全男女共学。
全寮制期間は初等部中学年まで。
それ以降は、自宅から通学することが許されている。
これら三つの学校から神前悧羅学院は成り立っているわけで
春から紀天が転入すると言ったのは、よりによって男子校である昂燿校。
ったく、幾ら私が体格がガッシリしてて男勝りな性格してるって言っても、
性別偽って押しかけるなんて絶対無理じゃない。
紀天の突然の宣言は高等部から続く未来は、
私の道と紀天の道と交わらないのだと自覚させた。
一緒に登下校するの楽しみにしてたのに。
寄り道して、バカやって同じ時間を過ごすのを楽しみにしてたのに。
『ねぇ、何時行くの?』
行かないでって紀天をとめることが出来たら、どんなに幸せだろう。
だけど男勝りの可愛げのない性格は、そんな女々しさを自分自身に許さない。