君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
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To:晃穂
おぉ、気を付けろよ。
こっちは今、リハが終わったとこ。
紀天
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今日も頑張れっ。
心の中で唱えながら、携帯電話を閉じた。
会場に到着してすぐに始めるのは、Ansyalのファンの子たちが
ポイ捨てしてるゴミを手持ちのゴミ袋に回収していく。
タバコを吸っては灰を落とす存在。
マナーがいい人はいいけど、マナーが悪い人なんて見つけると、
本当にコイツ、Ansyalのファンなのって疑っちゃう。
このツアーが始まって、最初には一人だった私も、
今は少しずつ声をかけてくれる存在もいる。
このツアーに何回も行くようになって、Ansyalのファンの中には
Ansyalネームと言う名前を名乗る習慣が出来ているのを知った。
郷に入っては郷に従え。
私も今は紀天の紀に、自分の名前の一部の穂を用いて、紀穂と名乗るようになってた。
「おはようございます。
紀穂ちゃん、今日もゴミ拾いしますよね
えっと、貴姫さん今日は少し遅れるんです。
だから私たち、紀穂さんを手伝うように指示されてるんで」
そうやって声をかけてくれるのは、十夜のコスプレをした女の子。
メンバーの衣装を手作りやら、オーダーメイドで手に入れて
それらに身を包んで、なりきってるコスプレイヤーと呼ばれてる人たち。
奇抜で異色を放つように目立っていても案外、こういう子たちの方が
マナーが良かったりする。
「有難う。
今、こっち側は注意しながらゴミ拾ってきたから
良かったら、向こう側手伝ってくれる?」
「はい。
わかりませした」
そうやって返事をして、コスプレの集団はチーム仲間がバラバラになって、
手には透明のゴミ袋を手にして周辺に散らばっていく。
ようやく、少しずつだけでファンマナーが根付いてきた。
高校でドラムに目覚めて、必死に練習を続けてたちあげたRapunzel。
その頃から、私はずっとこうやってLIVE会場の掃除を続けてきた。
きっかけはアイツとと最初に楽しんだSHADEのファンたちが
そうやってしていたから。