君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
そうなると、後……私が出来る事は
その体をめいっぱい使うこと。
金属製の分厚いドアを内側からドンドンと叩く。
何度も何度も、声をあげながら。
そうやり続けることで、誰かが気づいてくれる。
アイツが、紀天が必ず見つけ出してくれる。
そんな呪いにも似た感覚が私を包み込んでいた。
いろんなものを乗り越えて、
ここまで歩いてきたアイツと私だから。
だから私は、この腕が折れても
このドアを叩き続ける。
この声が涸れても、
アイツに伝え続ける。
私が今いる居場所を。
腕がパンパンに張って、
血が滲み始めたとしても。