君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
4.決意の転校~高校時代~ -紀天-
高校一年生の春。
オレは長年通いなれた神前悧羅学院悧羅校から、
昂燿校への転入を決めた。
小さい時から、オレには行方不明の弟がいる。
弟の名前は、廣瀬尊夜【ひろせ とうや】。
尊夜と名付けられた弟の母親はオレにとっては養母。
生母である母さん廣瀬心【ひろせ しずか】は幼い時に他界した。
養母もまたオレが知る記憶の中で母さんの隣に、
いつも片隅に存在してた。
咲空良【さくら】さんと、
ずっと小さい頃から呼び続けていたその人は親父と再婚。
そして尊夜は弟になるはずだった。
っと言うのも、オレ自身生まれてから一度も尊夜の姿は見ていない。
父さんと養母さんが作った尊夜の名前が書かれたオレとお揃いのアルバム。
オレのアルバムには、
命名・手形・出生時のエピソード・親からのメッセージ・
病院で過ごすオレの写真・退院した日など続いていく小さい時の記録。
だけど尊夜のアルバムは違う。
命名・出生時のエピソード・咲空良さんのメッセージ、
そしてオレの手形・病院の何処かの部屋をとったらしい一枚の写真。
その写真には、尊夜の輪郭まではしっかり映っていない。
保育器に入っている写真。
尊夜の出生届の写真。
届出ましたの、日記。
その後、次の頁をめくるとそこには、
小さな文字で、書かれた一文。