君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
大学の講義の合間に相変わらずバイトを続けながら、
紀天と過ごす時間を作り続けた私。
そんなAnsyalの次のLIVEが決まったのは、
その年の12月24日。
クリスマスイヴの夜、Ansyalメジャーデピュ1周年となる記念LIVEだった。
冬休みに入ってから、連日スタジオに缶詰めになって
準備に準備を重ねて迎えた、その日は朝から珍しく雪が降り続けていた。
朝、ベッドから這い出してカーテンを開けると
一面、真っ白な雪化粧で、外はまだ雪が降り続けていた。
窓を開けて、寒空にそっと手を伸ばす。
掌にふんわりと舞い降りた雪が体温で溶けていく。
深呼吸して伸びをすると真っ白な息が空気に溶けていった。
*
おはよう、紀天。
いよいよ、今日だね。
今日のLIVE、雪だけどやるのかな?
晃穂
*
送信。
泊まり込みの紀天は、相変わらず忙しそうで
私は窓を閉めて、朝の準備をしながらアイツにメールを送る。
いつもの様に洋服を来て、
午前中は、バイト先に顔を出して小遣い稼ぎ。
バイトを終えて、携帯電話を確認すると、宝珠さまから電話が入ってた。
リダイヤルで慌てて発信する。
「もしもし」
「お疲れ様です。アルバイトをしていましてご連絡が遅くなりました。
絹谷です」
「ごきげんよう、晃穂。
今日なんだけど、クリスマスイヴでしょ。
AnsyalのLIVEの後、クリスマスパーティーをするの。
貴女も参加しないかしら?」
「宝珠さま、ご招待有難うございます。
ですが関係者ばかりのパーティーに、宜しいのでしょうか?」
「構わないわ。
後、晃穂はSHADEの怜と接点があったわね」
「えっと……接点って言うほどではないですかけど、
紀天とのデートで、SHADEのLIVEに何度かいってて
ツアーグッズのバスタオルを頂いたくらいですけど、それが接点って言うなら……」
「ふふっ。まぁ、怜がそんなことしたのね。
怜は私の親戚になるのよ。SHADEを解散して今は入退院を繰り返しているんだげと、
怜の希望で、今日のLIVEに顔を出したいって連絡があったの。
それで晃穂に怜のことを頼みたくて電話したのよ」
突然の申し出に、戸惑いも多かったけど私はそのまま了承して
雪のある街の中、ホールに向かって移動を始めた。