君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】



会場が17時、開演が18時からのLIVE会場に
私が到着したのが14時頃。


会場に到着したと同時に宝珠さまから託されているスタッフの腕章をつけて、
会場周辺のゴミ拾いなどをしていく。


「紀穂さま、こんにちは。
 いつも有難うございます」


顔見知りになってたファンの子たちも私に声をかけながら、
私の『関係者腕章』を見てびっくりするファンの子たち。


「憲さん、お怪我は大丈夫だったんですか?
 夏の事件、本当に気になってたんです」

「心配してくれて有難う。
 紀天も今日のLIVEは暴れるって張り切ってたから、
 皆、応援してあげてね」


そんな会話を交わしながら、ゴミ拾いを終えると
宝珠さまと連絡をとって、開場前のLIVEハウスの中へと入った。


中に入ると、Takaが用事があったとかでまだ到着していなくて、
それ以外のメンバーと、初めてみるTakaの弟らしい子が、
リハーサル中だった。


照明の打ち合わせ、効果の打ち合わせなど
次から次へと、本番前の準備が進められていく。


そんな初めての景色を私は楽しみながら、
ステージの上のアイツをじっと見つめていた。



やっぱりアイツはこうやってステージでドラムを叩いてる姿が
かっこいい。

幻想的に出で立ちで暴れまわるアイツ。




アイツに見惚れている私の傍、宝珠さまが近づいてきて怜さんの到着を告げた。


私は宝珠さまについて怜さんの元に向かうと、
そこにはSHADEで活躍していた頃には想像もつかなかった車椅子に乗って、
元々の色の白さを更に白くしたような姿を見る。



「怜、ごきげんよう」

「宝珠、今日は無理を言って悪かったね」

「大丈夫よ。Ansyalのメジャーデビュー1周年。
 怜にも見守って欲しいわよ。

 私、慌ただしくなるから、怜のサポート役を私のジュニアに頼んだの。
 紀天の彼女よ。

 彼女、今も昔、貴方があげたバスタオル宝物にしてるみたいよ」


そう言って、私が会話をきりだしやすいようにお膳立てしてくれけた宝珠さまは
そのまま怜さんを私に任せて、忙しなく移動していった。


「SHADE、解散してしまったときは凄く悲しかったです。
 だけど……車椅子で生活してらしたなんて、今、凄くびっくりしてます」

「少しね、難しい病気になってしまって今は治療に専念してるんだ。
 だけどこの病気が治ったら、また音楽活動は続けようと思ってる。
 
 羚が今は、Ishimael【イシマエル】をしているけど、
 それでもSHADEを復活する時間くらいは出来るだろう」

「SHADEの一ファンとして私もその日を楽しみにしていますね。
 それで、今からどちらに案内しましょう?
 楽屋ですか?それとも……」
 
「楽屋には行かずに、二階にそのまま連れて行って貰えるかな?
 二階の宝珠が用意してくれた関係者席で、俺はその開演を待つよ」


そう言った怜さんの言葉に頷いて、私はそのまま車椅子をエレベータへと移動させて
二階の関係者席へと案内した。
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