君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
晃穂にそれを告げると、アイツはただ小さく頷いた。
憔悴しきっているアイツを一人に出来るはずもなく、
尊夜に連絡をして、アイツの傍に居られるようにする。
翌朝、尊夜が俺の部屋をたずねて来て、そのまま喪服に身を包んで
運転手付きのアイツの車で移動した。
連れて行かれた場所は、怜さんのご自宅らしく『十六夜』と書かれた表札が
俺たちを迎え入れた。
「遅くなりました。瑠璃垣伊吹、参りました。
この度はお悔やみ……」
尊夜が代表で挨拶をして、邸の中に迎え入れられる。
その部屋には布団に寝かされたままの怜さんが居て、
その隣には棺が置かれている。
女の子が怜さんに向かって、抱きついたまま涙を流し続ける。
「憲さん、十夜さん今日は有難うございます。
鷹花【ようか】、奥に行こう。
また熱があがったらどうするの?」
梛が姿を出して、俺たちに挨拶をするとそのまま女の子を連れて
部屋を出ていった。
厳かに行われる納棺の儀式を経て、
その後は棺をSHADEのメンバーたちと並んで車へと運びいれる。
そのままお通夜の会場へと移動して、慌ただしく時間は過ぎていった。
怜さんに死顔に対面しても、まだ実感は得られなかった。
お通夜の時間には、Ansyalの他のメンバーや、昂燿時代のメンバーが
怜さんのを忍んで弔問に訪れる。
翌朝真っ青な空の中に、怜さんは天国へと旅立っていった。