君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
「紀天さん、もう少し火葬には時間がかかるみたいです。
怜さんの日記が出て来たんですよ。
昨日、見つけて思わず一晩読み続けてしまいました」
ソファーに座って待っている俺と晃穂の傍に、
近づいてきたのは、SHADEでベースをしている羚。
怜さんの弟分として有名な存在で、
怜さんを通して俺も何度か交流したことがあったが、
仕事以外で話すのは初めてだった。
羚から手渡された日記をゆっくりと開く。
俺の膝では、ようやく涙を流すことが出来た晃穂が
疲れ果てて眠ってしまっていた。
そんな晃穂を床に落とさないように気遣いながら、
ゆっくりと日記をめくっていく。
パラパラとめくっては、気になった頁をじっくりと読みふける。
*
いよいよ半年後にLIVEを決めた。
チケットの販売も始めた。
当日、車椅子から立ち上がれないかも知れない。
演奏もまともに出来ないかも知れない。
俺が生きているかどうかすらわからない。
それでも生きている限り、この体がある限り
ステージに立ちたい。
ステージに立って見せる。
俺は夢追い人。
だから走り続ける
*