君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
20.私が花嫁?~夢見た世界~ -晃穂-
12月の終わり頃。
夜になって雪が降りだした日、
アイツは私に『家族になろう』って言ってくれた。
そんなアイツのプロポーズに対して、
その日だけは素直に「いいよ」って答えられた。
その後、家に入ってアイツはポケットの中から
小さなジュエリーボックスを取り出して私の掌におさめた。
「晃穂、俺はあえて新しい婚約指輪用意しなかった。
これ……お母さんのなんだ」
お母さん……アイツが、お母さんって言ったら
亡くなったアイツの実母、心【しずか】小母さんのことだ。
「心小母さんの?」
「そう。お母さんから託された指輪。
かして」
そう言ってボックスをパカっと開くと、
その中からはダイヤモンドのあしらわれた綺麗な指輪が姿を見せる。
その後はアイツは私の薬指に、そのリングをゆっくりとはめこんだ。
私の薬指で輝く指輪。