君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
22.君を守る陰になりたい ~前編~ -晃穂-
三月上旬、Ansyalのシングルの発売。
中旬からは、祈君と雪貴君たちの春休みに入り
Ansyalの春季ツアーが始まった。
春季ツアーは軽めに。
それでも地方公演を含めて10公演のスケジュールが予定されていた。
派遣の仕事を調節して、全公演参加できるように準備を行って
いつもの様に望む、Ansyalのツアー。
だけど今回から私は、紀天たちと同じように行動をする。
腕には事務所スタッフとしての腕章をつけて、
宝珠様たちと一緒に行動する。
移動も宿泊先も全てが同じ。
LIVEのチケットは、関係者パスと共に招待チケットが届くようになった。
「紀天、今日のLIVE頑張って。
託実さん、祈さん、雪貴くん、尊夜くん、
アイツのことお願いします。
私今から、外回りにいつものように出るんで」
楽屋に顔を出すと、私は腕章をはずしてポケットへと忍ばせると
チケットと関係者パスを鞄に入れて、ゆっくりと会場から外へ出る。
いつもの様に会場周辺のゴミ拾いをやりながら、
ファンたちのマナーに視線を向ける。
「紀穂さん、お疲れ様です。
ゴミ拾い手伝います。
貴姫さんに手伝うように言われてるんで」
私の姿を見つけて近づいてくるのは、Ansyalのメンバーのコスプレをしている
私設チームの人たち。
服装こそはびっくりするけど、話してみればいい人たちだってことはわかってる。