君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
23.君を守る陰になりたい ~後編~ -紀天-
春季ツアーの真っ只中、メンバーがわざと中日を作ってくれた
前日のLIVEで、俺と晃穂はメンバーとEIJIさんから思いがけないプレセントを貰った。
そのプレゼントはやがて、会場に居たファンたちを巻き込んで
俺にとってかけがえのない宝物になった。
会場を後にした俺たちは、
そのまま尊夜が手配してくれたクリスタルホテルの客室へとメンバーごと移動する。
ホテルのバーで軽く打ち上げを終えて、
キングサイズのベッドに一緒に眠る晃穂。
「凄かったね。皆にあんなに祝福して貰えるなんて思わなかった」
「そうだな。
俺も何も知らされてなくて、照れくさかったけど
やっぱ嬉しいもんだな」
お互いようやく余韻に浸るように呟いて眠りにつく。
翌朝、花嫁のアイツは俺よりも早く準備に出掛けて行く。
アイツの二時間後くらいに、俺も花婿としての衣装に袖を通して
アイツの控室を訊ねた。
ノックをして名前を伝えると、内側からドアが開かれる。
そこには再び、留袖姿をしたお義母さんと母さんがドアを開けて迎え入れてくれた。
「紀天、凄く晃穂ちゃん綺麗よ。
心【しずか】も凄く喜んでるわね」
そう言って嬉しそうに目を細める。