君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
「紀天、晃穂ちゃん本当に今日はおめでとう。
幸せな家庭を作っていってください」
そう言って琢也さんは最後にお祝いの言葉でしめると、
一礼して会場から出ていった。
その後も儀式は進んでいったものの、この一瞬に、全てを持っていかれた俺と晃穂は
殆ど思いだすことが出来ない、夢心地な中で最後まで無事に披露宴を終えたようだった。
披露宴の翌日からは、
春季ツアーの後半戦が始まる。
相変わらず俺は慌ただしくて、アイツに頼り切ってる部分があるけど……
それでも、俺なりの精一杯でアイツを抱きしめて歩いていきたい。
アイツを守る騎士でありたい。
アイツを思う陰から、日のもとに顔を出した俺の想いは
この先も永遠に。
「紀天、ほらっ、頑張って。
アンコール始まるよ。いってらっしゃい」
披露宴前のLIVEでファンに入籍を報告した後の最初のLIVE。
ファイナルアンコール。
ステージライトの熱にやられて、フラフラになりかけてる俺のもとに
走ってきては、水分を取らせて冷たいタオルで体を拭いてくれる晃穂。
この日から、アイツはフロアーの住人ではなく
本当の意味で、俺の傍で陰となって支えてくれる。
「んじゃ、アンコールファイナル行こうか」
尊夜の掛け声で、俺たちは最後の力を振り絞るように
光の中へと駆け出していった。