君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】


だったらアイツは?




グルグルと浮かび続けると想像は眠ることを
許してくれないまま明け方を迎えた。





朝、六時。


「おはようございます。
 デューティー、紀天。
 お目覚めの支度を」


いつものようにドアを開けて
声をかけるアイツ。


一礼して出て行こうとしたアイツの腕を慌ててベッドから
飛び出して掴みとる。




「伊吹、悪いけど……お前って何者?」



ストレートすぎるだろっ。



そう思った時にはすでに手遅れ。



オレの口から出た言葉は撤回することすら出来ず、
そのまま立ち尽くすようにフリーズした伊吹は、
次の瞬間、俺を睨みつけて思いっきり頬を掌で打ち付けた。



一瞬緩んだ隙に、オレの手をすり抜けて、
解き放たれるアイツの体。



アイツはそのまま自分の部屋に駆け込んだのか隣の部屋からは、
ガチャリと鍵がかかる音が響いた。



その後も隣の部屋は一向に開く気配がない。




竣祐さんを起こす時間が近づく。



部屋に閉じこもった伊吹が気になりつつも、
制服に袖を通して、オレは伊吹の仕事のフォローと
オレ自身の仕事をこなし続ける。



朝食時間になっても、伊吹は部屋から出てくる気配はなく
それは授業が始まる時間になっても変わらなかった。


放課後、慌てて寮に急ぎ戻る。
伊吹の部屋をノックするものの返事は今もない。




「伊吹、開けるぞ」



外から声をかけて、ドアノブに手をかける。


鍵がかかって回らないのを覚悟していたドアノブは
簡単に抵抗もないままにまわる。


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