君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
アイツは私の腕から手を放すと、
真剣な目で、棚に沢山突き刺さってる
棒を引っ張り出しては、手に持って少し揺らしてる。
「これ、何?」
隣にいって、アイツが見てる棚から一本引き出す。
「ドラムスティック。
俺さ、昂燿行ってドラム始めたんだ。
今は先輩の借りてんだけど、やっぱ欲しいだろ自分用。
ここ先輩に教えて貰ったお店なんだ」
そう言いながらアイツは、真剣そうにいろんな棚から、
ドラムスティックを抜き取っては手に持って叩く素振りをする。
何もすることなんてないからアイツの隣、
いろんなところからドラムスティックを抜き取って思ったのは、
重さと太さが違うって事。
触った感覚も違うんだ。
持った感じの微妙な違いを感じ取って
アイツは自分の相棒になるのを探してるんだって思った。
アイツの邪魔は出来ない。
そう思った私は、スティックコーナーから離れて、
周辺のドラムのアイテムを見つめていく。
ドラムセットと呼ばれる一式が揃ったものから電子ドラム。
スネアってポップにはかかれてるものは、
いろんな種類があって、棚に並べられていた。
「待たせた。
おっ、スネアいろいろあるんだ。
あっ、d drum(ディードラム)発見。
おぉ、智早さんと一緒かな?」
そう言いながら、
ガキみたいにはしゃいでるアイツ。
そんな紀天を見てるのが楽しくて。
その後も、アイツはドラムフロアーを堪能して
はしゃぎ回って。
そんなアイツが、ちょっと可愛くて。
その後、レジでスティックを買った後
私の方を振り向いた。
「晃穂、ここレンタルでスタジオ貸してくれんだ。
少し叩きたいんだけど、お前どうする?」
「一緒に行くよ。
楽器屋に一人置かれても、縁ないし」
「了解。
んじゃ、一時間一部屋二名で宜しく」
アイツはそう言うと私の分まで、
ちゃっかりスタジオ料金支払って、
奥の部屋へと引っ張っていく。
ガチャリと特殊なドアを開けて中に入ると、
そこのなかには、やっぱり私には縁がない機材が沢山あった。