君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
自分の中で「おかず」をって頭の中では思っても
実際に思い通りに、いれきることが出来ない。
それでも……ドラムを叩いている間は、
オレらしさを感じられる瞬間でもあるから。
どんなに下手くそでも、
アイツに知ってて欲しかった。
そんなオレなりのアピール。
ドラムの練習時間を終えて晃穂と一緒に外に出ると、
腹ごなしをしてその辺をプラプラと散策。
とりあえずアイツも楽しんでくれてそうな表情で
オレ自身もほっとする。
夜が近づいてくる頃、
オレは携帯電話のメールをチラリと確認した。
昨日の夜中、智早さんから届いた
一通のメール。
*
To: 紀天
明日の夜、良かったら生演聴いておいで。
招待メール貰ったんだけど、
今回は都合がつかなくて。
友達には、伝えておいたから。
俺の後輩が言ってもいいか?って。
OKは貰った。
彼女も連れて行っていいから。
しっかりと勉強しておいで。
勉強の成果は、
こっちに帰ってきた時に見せて貰うよ。
智早
*
そのメールと同時に添付されたのは、
データーチケット。
智早さんにすすめられた未知の世界に踏み込んでみたくて
オレは晃穂をそれとなしに誘った。
晃穂の家に電話をして、
帰宅が遅くなることも了承して貰う。
今は少しでも長く晃穂との時間を過ごしたいって、
オレの我儘でもあるしオレの体験する全てを
アイツに知って欲しいとも思う。
そうやって辿りついた、LIVEハウス。
とある建物の前に、
歩道にまで溢れ返った人・人・人。