君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
「初めまして。
SHADEのメンバーを紹介するよ。
ギターのRyoです。
佐喜嶋怜【さきじま りょう】。
んで、あっちに居るが、
ドラムのEIJI。
ベース磨いてるのが、Rei。
電話触ってるのが、ボーカルの琢也。
んで、宝珠ちゃんと、俺の妹の鷹花【ようか】」
「智早先輩の後輩で、廣瀬紀天といいます。
こっちは、絹谷晃穂。
今日は宜しくお願いします」
そうやって、図々しくも暫く楽屋で会話を楽しませて貰って
オレと晃穂は会場内へと移動した。
再び戻った会場内。
フロアーにはすでに、ギッシリと人が溢れかえっていた。
会場内に流れるBGM。
初体験の空間に始まりの時を今か今かと待ち続ける。
「晃穂、ドリンク交換してくるよ。
なんか喉乾いちゃって」
なんて言いながら、ドリンチケットを持って
後ろのバーカウンターへ行くのもびくびく。
次第に楽器の生音が聞こえるようになって、
暗がりのステージには、人影が忙しなく動き始める。
「Ryo」
「EIJI」
「琢也~」
「Rei」
なんていろんな会場内から、
ステージに向かって叫ばれていく声。
やがて会場内が真っ暗になり、
ステージの方だけ、赤や緑のライトで美しく照らし出される
幻想的な空間。
会場内は、何かの形を手で作ったファンたちが、
ステージに向かって一斉に行動を始める。
ステージの段で、暗黙にわけられているのか
頭の上で拍手をしながら迎えるファンと、
手で何かをかたどってステージにアクションをするファン。
どちらのファンにも言えるのが一気に湧き上がる歓声。
その歓声に答えるように、
ステージへとメンバーが姿を見せる。
「EIJI~」
確か……ドラムの人だ。
EIJIさんは、手に持ったスティックを
頭上に突き上げて、観客に一礼。
そのまま自分のドラムセットの方へと向かっていく。